野っ原と、猫。

2022年

彼らは花々の香りを感じて過ごせないし、草むらで背中を掻くことはできないし、羽ばたく蝶々を追いかけることもできません。人間が作った食べ物が放つ匂いを嗅ぎ、絨毯で背中を掻き、人間の振る玩具で遊びます。けれども、私は彼らがこのように過ごしていると思いたいんです。

老いぬ猫に菊

F6号

2022年

はや何年か、共に歩めぬ猫を想って。
彼とずっと暮らしていきたい。
あなたはこんなに可愛い顔をしてましたっけ。
いつもありがとうの気持ちを込めて。
枯れぬ菊に願って大変元気です。

宇宙ネコ

P6号

2022年

エリザベスカラーをご存知ですか?
彼が付けてる円盤のことです。彼は大変な苦労猫でしたから、このような姿になったことがあります。
この頃の彼は陸地を泳ぐ生き物のようでした。
海は泳ぎたくないでしょうから空に放って。

かずよとケイスケ

M10号

2023年

実家の周辺に住処のある野良猫達です。一方は団地の前の空き地を縄張りにしている三毛で、もう一方は神社でお勤めをされている様子のキジです。各々、少し離れた別の場所で暮らしていますが、私にとっては、いつもそこに居る思い入れのあるネコ達です。ある年に立て続けに祖父母が亡くなりました。以前から祖父母の姿をこのネコ達に見ていたので、なんだか全てをうしなってしまったように思えなかったんです。

倒れた猫

〜アルゼンチン海老を添えて〜

2022年

彼は呼び名を沢山持っています。
コロッケちゃんだの、唐揚げさんだの、バケットだのと呼ばれています。彼はその日に浮かんだ茶色い食べ物に見えるんですね。お料理が仕上がった後、なにか添え物が欲しいと思いました。
夜のおかずにアルゼンチン海老がありましたので、描き足しておきました。海老の鮮度と同じくらい、うつろな様子でごはんの時間を待っています。

27時、お腹が空いた

F4号

2023年

深夜に目を覚ますとバチリと彼と目が合います。お腹が空いたと思っているんでしょう。そうでしょう。私は浜辺の夢を見ていました。
握手をして、また眠りましょう。また同じ浜辺で一緒にいましょう。

モデルがいいからね

F4号

2023年

彼はふたつぶの宝石を持っています。
キャッツアイという石がありますが、形容元は、より宇宙的です。彼にふたつぶの小さな宇宙があると思うと、とても神秘的ですね。ガスがかかっているような色合いも携えているんですから、偉いもんです。猫の瞳の中の宇宙に暮らす人がいるとは信じませんが、そのようなファンタジーは素敵だと思います。
神秘の生物『ねこ』は大変立派ないきものです。

カツとフライ

2022年

揚げ物をすると、とにかく油がもったいないんですよね。 大物を揚げると、満足できる使用感になりますので猫が丸ごと一匹入る大きな調理用バットを用意しておりました。 バットを無造作に置いておけば勝手に食材が入りますから、パン粉をまぶしてじっくり揚げます。 油っこいツヤ感は胃もたれ必至を思わせますが、そのモタレ感も含めて楽しむのが揚げ物の醍醐味というものでして…

ペットショップを抜け出して

2023年

彼らはペットショップで出逢ったんです。
彼らは外の世界を知りません。
そんな彼らの冒険譚を聞きたいですね。
十数年前に猫がおつかいをする物語を書いたもんです。
その頃から思考がちっとも変わってませんね。

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